横浜開港以来の歴史をもち、多くの人に愛される上品な街「横浜元町ショッピングストリート」

異国情緒ただよう元町にある、全長600メートルほどの「横浜元町ショッピングストリート」は、西洋風の雰囲気が感じられるエリアです。その歴史は古く、1859年に横浜が開港して以来、150年以上にわたって多くの人に愛されています。

上品なブティックや小売店、カフェ、レストランが立ち並び、地元の人や外国人観光客など多くの人が連日訪れています。今回は、横浜元町ショッピングストリートの歴史と魅力をご紹介します。

「欧米と日本の文化の交差点」として発展した元町

横浜元町ショッピングストリートは、横浜が開港して以来、長い歴史をもつ商店街です。横浜開港時、山手居留地に住む外国人向けに誕生したショッピング街であり、それ以降も外国人御用達の店が集まって発展してきました。

そもそも元町は、横浜が開港したとき、山下町にあった外国人居留地と山手にあった山手居留地を結ぶ場所にありました。そのため、居留者の方々が行き交うエリアとして、外国人向けの商売が盛んに行われるようになったのです。

1923年の関東大震災では大きな被害を受け、またその頃には日本各地で開港されて輸入品もそれぞれの港に分散されたため、それまで輸入品を一手に引き受けていた横浜元町の活気は急速に薄れていきました。

さらに1945年の太平洋戦争における横浜大空襲で、横浜元町ショッピングストリートは焼土となってしまいます。ところが終戦後、アメリカの進駐軍が横浜に上陸したことから、軍人とその家族の需要を満たすために、ふたたび元町が活気づいたのです。

進駐軍が退いてからは、自治体の協力も得ながら、日本人、特に若者をターゲットとした新しい街作りがスタート。1960年代になると、ヨーロッパ6か国の一流商店街と姉妹協約を結び、直輸入品を扱ったり、独自のオリジナル商品の開発を進めたりしました。こうして、多くの人の努力によって、今もなお多くの人に愛される街として存在しているのです。

ヨーロッパの石畳を思わせる道の造りも、まさに西洋風。日本で西洋の雰囲気を感じられる横浜元町ショッピングストリートは、その歴史からも「欧米と日本の文化の交差点」といえるでしょう。

電車で行く場合は、JR根岸線石川町駅から徒歩2分、みなとみらい線元町・中華街駅からすぐです。あるいは、JR根岸線・横浜市営地下鉄ブルーライン桜木町駅からはバスで15分ほどで行くこともできます。

1970〜80年代に流行した「ハマトラ」の火付け役

(出店:横浜元町ショッピングストリート公式ホームページ)

ハマトラとは、「横浜トラディショナル」の略称。1970年代後半から女性の間で流行したファッションスタイルです。特に、女子大生の間で流行したといわれています。

ハマトラブームのおかげで、元町の名は全国で一躍有名となり、ミハマ、キタムラ、フクゾーといった元町発のブランドも生まれました。この3ブランドは、ハマトラファッションの「三種の神器」と呼ばれるほど、人気を博したのです。

ミハマは、2023年で創業100周年を迎えた、歴史ある靴ブランドです。注文靴の専門店として元町で開業し、「履きやすく、健康的、ノーブル(高貴)」をモットーにしたデザインの靴で、作家の志賀直哉など多くの芸術家にも愛されました。ハマトラブームでは、つま先の飾りリボンをかかと部分につけるデザインの靴や、かかと部分が平らなカッターシューズ。今もミハマの代表的な靴として人気です。

キタムラは、1882年創業の、オリジナルハンドバッグや靴などのブランドです。「K」の文字が入ったバッグをもっている人を街中で見かけたことがあるのではないでしょうか。1882年に元町で創業し、本店のほか、日本全国の百貨店にも出店している人気ブランドです。

婦人服、紳士服、子供服を手がけるフクゾーも、1946年創業の元町の老舗です。ハマトラブームの時代は、トレーナーやブラウス、巻きスカートが多くの女性に愛されました。創業以来、洋服の生地や糸、染色、裁断、縫製までを一貫して自社で手がけるこだわりを持ち続けています。

横浜元町ショッピングストリートは、日本のファッションブームを起こしたこともあるほど、多くの人へ影響を与えてきたエリアなのです。

今もなお、元町らしさにあふれる上品な店舗が並ぶ

今もなお、全長600メートルのメインストリートにはおしゃれなお店が軒を連ね、毎年2月と9月に開催される「チャーミングセール」には、全国から多くの人が集まります。

裏通りにも、カフェや個性豊かな雑貨店、ジュエリーショップ、アパレルショップ、レストラン、老舗のパン屋さんなどが点在しています。

こちらは老舗パン屋さんのウチキパン。1888年の創業以来、地元の人に親しまれているパン屋さんです。名物は、ホップを使った発酵種で手作りしたイギリスパン「イングランド」(390円)。朝食用のパンとして、自宅へのおみやげに買ってみてはいかがでしょうか。

また、パウダールーム「元町オアシス」は、バリアフリーのトイレや授乳施設、おむつ替えスペースなどが完備されており、訪れる人の70〜80%が女性である元町の客層に適した公共施設になっています。家族連れや女性にとって嬉しいスポットですね。

さらには、愛犬家の多い横浜らしく、横浜元町ショッピングストリートにはペットショップが多く点在しています。愛犬が気軽にお水を飲める「ペットバー」や、ペット同伴OKのカフェやレストランが多くあります。元町は、ペットと散歩をするのに人気が高いのもうなずけますね。

横浜元町ショッピングストリートの異国情緖あふれる街並みは、歩いているだけで旅行気分が味わえるので、天気のいい日は散策にもおすすめ。優雅な気分になるひとときが過ごせそうです。

【スポット情報】
元町ショッピングストリート
住所: 神奈川県横浜市中区元町1-14(協同組合元町SS会)

この記事を書いた人

  ライター名  御代 貴子
プロフィール 横浜に何かと縁があるフリーライター。幼少期の夏休みは横浜の親戚の家で過ごし、大学生活も横浜で送る。現在も神奈川県在住。東北の港町で育ったせいか、海辺の街並みが好き。趣味は飲酒しながらの料理。